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敏洋’s 昭和の恋物語り

長編恋愛小説 〜水たまりの中の青空・第一部〜(十四)混乱は、極致に達した 

2015年07月13日 外部ブログ記事
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彼にしても、驚いた。
構えることなく出た言葉に、信じられない思いだった。

以前の麗子からは、想像も出来ないことの連続に、正直のところ面食らっていた。
嘗ての傲慢さが消え、姉さん気取りの麗子だった。

車中で弁当を差し出されること等、考えられない。
洒落たレストランでの食事以外、考えられない麗子なのに。

ゆったりとした車内で、彼は縮こまって箸を使った。
麗子といえば、嬉しそうにサンドイッチを口に運んでいる。

「う〜ん。やっぱり、今いちねえ。こんなことなら、作ってくるべきだったかしら」
「えっ?!」

思わず彼は、絶句した。
又しても、麗子から意外な言葉が発せられた。
危うく、箸を落としかけた。

「うふふ、驚いた? 私らしくないものね。でも、お料理は好きなのよ。
時々は、お母様のお手伝いで、作ったりしてるの。
あら、疑ってる。いいわ! 今度、ご馳走してあげる。
武士さんのアパート、自炊できますの?」

口にしたものを、危うくはき出しそうになった。
「大丈夫? そんな驚くこと、ないでしょうに」
彼の背をさすりながら、麗子は悪戯っぽく笑った。

麗子の甘い香水が、彼の全身を包んでくる。
彼の混乱は、極致に達した。
“どうしたというんだ、どう考えればいいんだ。いつもの気まぐれだろうか。
気を付けろ! 図に乗ると、手痛いしっぺ返しを食らうぞ。谷底に落とされるぞ”

実のところ、麗子にも分からなかった。
これ程に優しい気持ちで、彼に接していることが。

これ程に安らぐ気持ちでいられることが。
彼が変わったのではない。
あれ程に苛立ちを感じた彼に、今は癒されていることが不思議だった。

疲れている麗子ではあった。
婚約者の独善性に振り回される日々に、疲れている麗子だった。

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