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流老記

フルーツパフェ。 

2013年08月27日 ナビトモブログ記事
テーマ:テーマ無し

退院後
まだおぼつかない足取りで
東京まで出かける。

衰えた脚力を鍛えるためにも
少しは無理をしないと。

打ち合わせのファミレスでは
あれもこれも美味しそうな
メニューに目移りするが
食事制限をされている身としては
どれも目の毒ばかり。

ひと通り眺めてのオーダーは
やはりブラックコーヒーだけ。

遅れてやってきた打ち合わせ相手は
昼飯が遅れたとかで
ステーキセットに
フルーツパフェをデザートで追加。

喰い物で殺意を抱いたのは
これが初めて。

あのねえ
今のオレの状況を理解してる?
思わず文句が出るのは当然。

医者が見ているわけじゃなし
食べればいいじゃん、と
ステーキを食べながらニッと笑う。

フルーツパフェを食べ残し
さて、打ち合わせをしようか、の言葉で
半分、気を失いかけた。

相手に悪気はないのだ、
ただ、思いやりもないのだ、と
自分に言い聞かせ
ブラックコーヒーを飲み干した自分が
哀れで愛おしい。

自虐も極限まで来ると
滑稽でしかないんだなあ。

打ち合わせ資料より
相手が残したパフェの方ばかりに目が行き
仕事にならない。

帰りの足取りは重く
残したあのパフェばかりが気がかりで
食べればよかった、と
悔んでいる自分が情けない。

もしものときは
棺桶を
フルーツパフェで埋め尽くしてもらおう、
などと本気で考えている。



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