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パトラッシュが駆ける!

こんなはずでは 

2013年05月10日 ナビトモブログ記事
テーマ:テーマ無し

まんまと、騙されてしまった。
騙される方も悪いと、世間でよく言われる。
その通りだ。
宣伝に釣られ、うかうかと乗ってしまった私が悪い。

「あなたが誘ったから、一緒に来たのよ」
妻にまで、文句を言われてしまった。
「誘いません。私は映画を見に行くと、こう言っただけ」
人を信じ、のこのこ付いて来た方だって悪い。
夫婦喧嘩になりかけている。

交通費に入場料、それに時間。
被害はそれくらいだ。
そう思って、諦めねばなるまい。

私の方にも、思い込みがあった。
「図書館戦争」
この題名に、引かれてしまった。
私は、図書館に、一方ならぬ恩義がある。
貧乏に育ったから、少年時代は、本もろくに買えず、
図書館から借りてばかりいた。
数だけは、たくさん読んだ。
そのお蔭で、後年、雑文を書き、それをまとめ、
出版するまでに、至っている。

その本が、日の目を見ることが出来たのも、図書館のお蔭だ。
書店と違い、図書館は、売れない、無名の作者の本も、置いてくれる。
東京では今、十二の図書館が、私の本を所蔵してくれている。
見ず知らずの人の手に取られ、読んでもらえる可能性が出ている。
ありがたいことだ。
図書館様々なのである。

「戦争」
と付いているが、まさか、本当の戦争をやるわけではあるまい。
よくあるではないか。
些細な争いを、大袈裟に言うことが。
「牛丼戦争」「ハンバーガー戦争」「カップラーメン戦争」などなど。
パロディだと、思っていた。
まさか、本当に銃をぶっ放すなんて、誰が思うだろうか。

「図書館の自由が侵される時、我々は団結して自由を守る」
かっこいいコピーが、この映画の広告を飾っていた。
図書館には、厳として存在し続けてほしい。
そう思う私が、この映画を見ないわけには、行かなかったのだ。

 * * *

「お席をお選びください」
カウンター嬢の示した座席表が、意外に空いている。
と思ったのは、私の勘違い。
「青いところが、空いている席です」
その青い方が、ほとんどない。
つまり、込んでいる。
無理もない。
ゴールデンウィークの真っ最中である。

それにしても、客が来ている。
詰めかけている。
と言うことは、前評判の高い映画であるのだろう。

この際、前から二番目の席も、止むを得まい。
せめても、正面が良かろうと、中央部を選んだ。
これがしかし、後で悔やむこととなる。

いきなり銃声が響き、図書館の利用者が逃げ惑った。
本が散乱する。
その本に向かい、火炎放射器が火を噴く。
悪書を駆逐するためだそうだ。

その事件が契機になり、やがて、図書館を検閲から守るために、
部隊が創設される。
その名も「図書隊」。
これが驚くなかれ、銃器を携え、武力をさえ行使する。

そんな馬鹿な・・・
国家権力同士が衝突する、あまりにも突拍子な話に、
私は呆れてしまった。
荒唐無稽なストーリーなら、歌舞伎で慣れてはいる。
しかし、歌舞伎には、他に見るべきところがある。
例えば、親子夫婦主従の情愛である。
あるいは、怨念の深さだったりする。
この映画の場合、それらがない。
いや、なくはないのだろう。
私が見出せないだけかもしれない。
他の客は、おとなしく見ている。

もう、帰ってしまおう・・・
始まって15分もしないうちに、私はそう思った。
しかし、席がよくない。
通路が遠い。
あそこに辿り着くまで、私は、どれだけの客に、
頭を下げねばならないだろうか。

仕方ない。
こうなったら、昼寝だ。
私は耳をつんざく、自動小銃の銃撃音の中、天井を向き、
目を閉じ続けていた。
戦闘シーンの、やたら多い映画だ。
音でわかる。
敵のやつめ、右から襲って来たようだ。
今度は左かなと思えば、やはりそうなる。

エンディングがこれほど待ち遠しかった映画もない。

 * * *

明るくなって、場内を見渡せば、中高年の姿が、
ほとんどない代わりに、若い女性が多い。

「イケメンの男優が、二人出てたでしょ。それがお目当てじゃないの」
「ストーリーなんて、どうでもいいってこと?」
「恋愛もあったでしょ」
「あれが?」

映画に裏切られたことは、仕方ないと思っている。
自分に、目がなかったのだから。
問題は、世代間ギャップだ。
私が生理的に受け付けない、あんな滅茶苦茶な映画を、好んで見る。
そういう若者が居る。
たくさん居る。
そのことに、ショックを受けている。

「もう当分、映画は見ない」
「来週、シネマ落語が始まりますよ。昭和の名人五人衆って」
「それは別だ。必ず行く」
落語なら、間違いない。
どう転んでも、騙されることは、ないと思っている。



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パトラッシュさん

映画は、選んで見ているつもりです。
厳選しているつもりでした。
しかし、今回は、ダメ選でした。
衝動選でした。
やれやれです。

2013/05/16 21:27:33

こんにちは

さん

 基本的に映画はお好きなのですね。
 私はテレビで放映されるまで見ません。
 それも古典物の洋画をチョイスします。
 ビデオに撮って眠れぬ夜に見ます。

 気に染まぬ映画を見なければならないのも結構きついですよね。
 お疲れ様でした。


 飾り窓の花に拍手有難うございます。

2013/05/16 15:36:57

今度は慎重に

パトラッシュさん

まちさん、こんばんは。
まったく同じですね
どっと疲れたところまで・・・

「東京家族」なら、よかったですね。
一番前の席ってのは、考えてしまいますけれど・・・

2013/05/11 19:16:02

わたしも。。。

さん

パトラッシュさん、こんにちは。

何時の洋画ばかり観ていますが、安く購入したチケットの有効期限が迫っていたので、「プラチナデータ」を観ました。

本当はもう終わりかけの「東京家族」でもと思っていたのでしたが、一番前の席しか空いていず、宣伝文句に惑わされて観たのが失敗でした。

全く同じ経験で、可笑しくて〜(^O^)

主人公は嵐の二宮君。
帰りは若い女の子ばかり!

妹と当分映画は懲り懲りだと、どっと疲れて帰って来ましたよ(;_;)/~~~

2013/05/11 14:21:19

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