ナビトモのメンバーズギャラリー

条件で調べる

カテゴリ選択
ジャンル選択

前の画像

次の画像

ギャラリー詳細

作品名 梅の話(2) 評価 評価(1)
タイトル 梅の話(2)
投稿者 比呂よし 投稿日 2013/11/21 11:19:26

++++命が尽きようとしているのを、本人はどの
ように自覚しているのだろうか。

(2)

 母が突然布団の中から片手を差し出した時、私は
驚いてどう対処して良いか判らなかった。 干乾びて
茶色に見える皮膚は、油が抜けたようで、手の骨に
食い込んでいた。以前報道写真で見た、飢餓で割り
箸のように手足が細くなったアフリカの幼児を思い
出した。

 骨ばった手を壊わさないように両手で包みなが
ら、「細くなったねえ」と私は言った。皮膚が張り
付いた母の顔には表情が無く、じっと私を見つめる
目は、不思議に殆ど瞬きをしなかった。

 目が何かを訴え掛けているように見えた。 苦し
いのか、寂しいのか、迫る死を怖いと感じているの
か、判別が付きかねた。 それとも、あれこれ思い
煩う気力は衰え、ただボンヤリ私を眺めているだけ
なのかも知れない。

 母の目を見返して、死んで行くのは貴方であって
私ではないーーー、だから一緒に付いて行って上げ
られないと心で応えた。そう応える以外に仕方が無
かった。

前の画像

次の画像



【比呂よし さんの作品一覧はこちら】

最近の拍手
全ての拍手
2013/11/30
2013/11/21
2013/11/21
みのり
拍手数

3

コメント数

0


コメント

コメントをするにはログインが必要です


同ジャンルの他の作品

PR





上部へ