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読書日記
『世にもあいまいなことばの秘密』 読書日記370
2024年05月11日
テーマ:読書日記
川添愛『世にもあいまいなことばの秘密』ちくまプリマー新書
日本語はあいまいな言葉だと良く言われる。これに対して、私は「日本語でも明快に、正確に、論理的に書ける」という信念を持っている。読売新聞の書評で本書のことを知ったのであるが本書を「あいまいな言葉の使用法」を列挙しているものだと思い込んでいた。日本語はハイコンテクストな文化のもとにあることも確かなので、状況の読み違いによるあいまいさと誤解を避けることは難しい。このことは下の目次を見ればその「曖昧さ」が判るのだが、どの様に解釈出来るかを考えて見て欲しい。
【目次】
1 「シャーク関口ギターソロ教室」――表記の曖昧さ
2 「OKです」「結構です」――辞書に載っている曖昧さ
3 「冷房を上げてください」――普通名詞の曖昧さ
4 「私には双子の妹がいます」――修飾語と名詞の関係
5 「政府の女性を応援する政策」――構造的な曖昧さ
6 「2日、5日、8日の午後が空いています」――やっかいな並列
7 「20歳未満ではありませんか」――否定文・疑問文の曖昧さ
8 「自分はそれですね」――代名詞の曖昧さ
9 「なるはやでお願いします」――言外の意味と不明確性
10 曖昧さとうまく付き合うために
同時に「曖昧」という単語には
1.意味することがハッキリせず不明瞭な表現である
2.もう一つは多義的であって、意味することが複数通り考えられる表現もある。
の2つの意味があり、本書の多くの例では2の意味が多いような気がする。
さらにもう一つ日本語の問題があって、正確にそして論理的に書こうとすると文が冗長になって反って意味不明になりやすいという性格がある。結局のところ、話し手の省略とそれを読み取る受け手の感性とが曖昧さを避ける為には必要であろうし、著者の言う通りに「言葉の曖昧さに少し敏感になり、話のすれ違いを早めに察知できるようになる」ことが目標だという狙いは判りやすい。
(2024年4月15日読了)
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