筆さんぽ

化粧する男たち 

2024年05月01日 ナビトモブログ記事
テーマ:筆さんぽ

大河ドラマ『光る君へ』を見て思い出したことがある。

タイに、仕事で行き来しているころ
バンコクで、よく
「女装する男たち」を見かける。

「キレイな女性」のように見えるが
いっしょに酒を飲みたいとは思わない。
けど、一杯くらいは飲んでみたい。
心ときめかないが
気になったのは
「化粧」のことである。

自分の「タイ通」には
年季が入っているつもりだが
これには
勝手に「合点」することもあった。

考えてみると
日本のお公家(くげ)さんも
女性のように化粧していた
と読んだことがある。

眉の毛を抜いて
額に「殿上眉(てんじょうまゆ)」を描いた。
殿上眉とは、眉をそり落として
その上に墨で二つの丸い点を描いたもの。
そして、歯を黒く染めていた。

この風は、12世紀
平安後期にはじまったといわれる。

平家も武士から
昇格して公家になったから
その方たちも当然
化粧して戦場に出た。

むろん、公家以外の武者や
敵の源氏の武者などは
素(す)のままの顔だった。
つまり、貴種だけが化粧したのである。
貴種とは辞書によると
「高い家柄の生まれ。高い血筋」とある

歌舞伎でも二枚目は白く塗る。
江戸期は照明がなく
暗かったこともあるだろうが
二枚目は庶民のイメージの上では
「擬似の貴種」であったのだろう。

だから、白粉(おしろい)を
塗らなければ
観客は承知しない。

調べたら
「貴種流離」ということばもある。
貴種が何かの事情で
放浪するという説話のタイプで
日本では義経がその典型といわれる。

歌舞伎では義経のことを
「判官(ほうがん)」という。
判官が赤ら顔というわけにはいくまい。

さて、冒頭のタイ人の化粧のこと。
気になったのは
意識化で
「貴種流離」を重ねて
むかしの「日本人の血」がさわいだのだろうか。


「彼女」たちは
貴種の流れをくんでいるのであろうか。

いや、そうは見えない。
主役の一枚目には見えないし
かといって、色男の二枚目でもないし、
申しわけないが、滑稽な三枚目の雰囲気を醸し出している。



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