読書日記

『婿どの相逢席』 読書日記167 

2023年03月12日 ナビトモブログ記事
テーマ:読書日記

西條奈加『婿どの相逢席』幻冬舎(図書館)

図書館で棚から見つけたもの。図書館ではその作家の本を沢山所蔵していても開架の棚に並ぶのはたいていひとりの作家につき数冊ずつが少しずつ入れ替わるので、まだ読んでいない本が並んでいるのは珍しい。

それはそうと、単行本と文庫本の違いは何かと言えば、巻末に解説があるか無いかであろう。文庫本には解説が付くが単行本には無い。前もって内容について知った上で予約する場合は別だが図書館で実物を見てもその内容は判らない。借りるか借りないかは読んでみなければ判らないという逆説的状況である。書店で見たのであれば、まだ帯の惹句が参考になるが図書館本では帯は(普通は)無いから手がかりは著者名と題名と表紙絵だけとも言える。

さて、読了後にamazonで見つけた内容紹介によると

小さな楊枝屋の四男坊・鈴之助は、相思相愛のお千瀬の生家、大店の仕出屋『逢見屋』にめでたく婿入り。誰もが羨む逆玉婚のつもりが……

「鈴之助、今日からはおまえも、立場上は逢見屋の若主人です。ですが、それはあくまで建前のみ。何事も、最初が肝心ですからね。婿どのにも、しかと伝えておきます」
鈴之助の物問いたげな表情に応えてくれたのは、上座にいる義母のお寿佐であった。
「この逢見屋は代々、女が家を継ぎ、女将として店を差配してきました。つまり、ここにいる大女将と、女将の私、そして若女将のお千瀬が、いわばこの家の主人です」(本文より)

与えられた境遇を受け入れ、商いの切り盛りに思い悩むお千瀬を陰で支える鈴之助。
“婿どの"の秘めた矜持と揺るぎない家族愛は、やがて『逢見屋』に奇跡を呼び起こす……。

と言う話であった。

読み出してすぐ、不釣り合いだと諦めていた女性からのプロポーズ。女性との結婚がきまり四男坊故に婿入りもOK。婿入り先は大店で人もうらやむ境遇…かと思いきや、名目だけの主人であることが告げられ、店には居る所が無くなるが立場は義父も同じ。小遣いは月に2分(現代ならば約5万円)とは厳しいぞ。

話の彩りとしては、競合相手でもある、仕出屋の『伊奈月』からの嫌がらせがあるが、その理由は何か?と、まあそんなこともあるが、鈴乃助の人柄と性格でいつの間にか『逢見屋』の大事な一員となっていくと言う筋書きで、絶対的な悪人も出て来ず、ほんわかした雰囲気で楽しく読めた。
(2023年3月4日読了)



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