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イカに驚かされた夜　

2019年09月30日
テーマ：シニアライフ

久々に、コンサートを聴きに行った。

正直、コンサートそのものより、アフターの友人との食事が楽しみだったのだけど・・。

この友人は、同じくお一人様で、お酒に強いので、コンサートがあるとよく声をかける、大切なお仲間なのだ。


ところが久々のコンサートだったにも拘わらず、駅を出るとすぐに、他の友人に声をかけられたし、ホールでも何人かの懐かしい顔に出会って、私も顔が広くなった感慨があった。


演奏は、マリンバとピアノのデュオで、予想以上に楽しかった。

委嘱作品だという、「スリー・カラーズ」は、演奏前の解説が良かったせいもあって、特に面白かった。


「インディゴ」「ブルー」「イエロー」とタイトルのついた、三曲から出来ているのだが。

続けて聴くと、色彩に対するイメージが色々と想像できるし、聴き終わって、もし「三択」で問題を出されたら、当てられそうな印象だった。


一曲目は、ピアノが低音の和音を、唸るように何度も何度も繰り返して、「紺色」の重厚感を表していた。

それに引き換え、「青」は高音でキラキラと輝いて、青好きな私は、思わず引き込まれた。

三曲目が始まるときには、次を想像しながらちょっとワクワクした。

これは速いパッセージが流れるように続いて、「黄色」の帯が、揺れ動いているみたいであった。


後半に演奏された最後の曲は、私が先日友人と演奏した、ピアソラの「タンガータ」だった。

これは、編曲としては、二代ピアノの方が効果的だと思った。

ピアノで弾いても難曲な作品だけれど、マリンバの鍵盤は左右に距離が伸びているだけ、更に高度なのではないだろうか、等と想像しながら聴いた。


二人の男性達は、30代位なのだろうか・・。

やはり若い人の演奏は、鮮度が良くて、爽快であった。


演奏の合間に、楽しい話を挟むので、思ったより会は長引いて、終了後はタクシーで予約していたお店へ。

中央に生け簀があって、そこで泳いでいるイカを、活き作りにして出してくれるのだ。

目の前のお皿に、透明な活き作りが並ぶ。

生姜を取ろうとして、イカの足にうっかり触ってしまったらしく、足が二、三本大きく動いたのには、動揺してしまった。

先日一人で行った時は、テーブルに供された際、すぐにゲソは天麩羅にして貰ったので、そういった生々しさには遭遇しなかったのだけれど・・。


最近、人に会ったり、電話に出たりすると、「あら、風邪？　声が、ちょっと・・」と言われることが多い。

「いや、普段誰とも話をしないから、きっと声帯が劣化してるんだと思う」と冗談めかして答えるのだが・・。

この時も、友人にその話をすると、週に二回位の勤務で仕事を続けている彼女は、「わかる。私も仕事に行くと、自分一人がしゃべっている事が多いのよ」と言って

更に

「夜なら、大抵暇だから、何時でも電話して」と続けてくれた・・。

電話が苦手で、何でもメールで用事をすませる私は、その時は「有り難う」と軽く答えていたけれど。


時間が経つにつれて、友人の優しさが身にしみてくる。

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