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2019年03月24日 外部ブログ記事
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 「われらが内なる隠蔽」著者・柴谷篤弘について

 写真は野に咲く水栓。

 先日友人のKさんご夫妻に箱根に連れて行ってもらった際、Kさんのご親戚の方がかかれた本として、以前このブログで日本人の「隠蔽体質について」書いているのを読んだから、興味があれば読んでみたらと柴谷さんの本をお借りしました。

 著者・柴谷篤弘さんは1920年大阪府堺市生まれ、46年京都帝国大学理学部動物学科を卒業後、製薬会社研究室、大学医学部教授等を歴任の後、オーストラリア、ドイツ等で研究員を務め、92年には京都精華大学教授、学長を経て、名誉教授をされました。その間、「理論物理学」、「あなたにとって科学とは何か」等多くの著書を書かれています。Kさんのご親戚でもあり、私も堺市で育った時期があるこがあり多少親近感もありますが、学者でありながら「隠蔽」や「無誤謬性」について正面から取り上げ、1997年には本著を発表されたことに驚きを感じえません。

 章立ては序章 「書くことの中の隠蔽」、第一部、第一章 戦争を考える、第二章 戦争詩歌を考える、第二部、隠蔽の文化 第三章 社会の中の隠蔽 第四章 無謬性の神話  終章 「脱隠蔽」に向けて となっています。313ページにわたる「隠蔽の文化と日本人の隠蔽体質」についての大論文であり、文字も小さく、文体も固いことから読むのに苦労こそしましたが、専門分野ではないにもかかわらず、科学者として勉強されまとめられた質の高い分析に、まずは敬意を表したいと思います。

 特に戦争との関係で戦争画や、英国育ちのイシグロの作品、斎藤茂吉の短歌に見られる「隠蔽性」、そして2・26事件やシベリア出兵、宣戦布告なき大陸での戦火拡大、天皇制、出版における隠蔽性などの指摘は私には大変参考になりました。勿論、戦争遂行上、メディアを巻き込んだ隠蔽は筆舌に尽くしがたく、真実を語り、解明するのがメディアの責務であることを考えると、仕事として隠蔽に加担したメディア人の心の内は如何であったかと思われます。

 この本の中でも触れられている、会社や官僚制度の中での隠蔽体質は大きな問題です。大和銀行の米国連銀への隠蔽、この本では触れられていませんが、三和銀行の金融庁への隠蔽工作、大蔵省のバブル期の不良資産隠蔽、厚生省の薬害エイズに絡む隠蔽、外務省の沖縄返還にかかる日米政府取引に関する隠蔽等等。最近でこそ少なくなってはいますが、隠蔽を隠すための担当者の自殺等はあまりにも日本的な隠蔽工作そのものではなかったでしょうか。
 
 最近の東北大震災に関係する東電の福島原発爆発と放射能の飛散状況を政府は知りながら、国民に知らせなかったことにより生じた被爆などは信じられない思いです。爆発時、北北東に風向きがあったにもかかわらず10キロ圏外の飯館村は避難民を受け入れましたが、その後飯館村が避難区域に指定され、二重被害を発生させたことなどは、海外から日本政府のリスク管理能力と住民保護策に疑問を投げかけられています。

 勿論、「隠蔽体質」は日本に限ったことではありません。しかしながら政策上情報不開示とした事実についても海外では一定の時間をおいて開示するのが一般的です。日本のメディアも本来の責務に忠実に真実の解明に努力していることは認めます。それでもなお、一部のメディアが事実を歪曲したり、捏造することも知られています。一般企業においても隠蔽は少なくなっていると思います。また、一部の企業は最近社員の積極的な内部告発制度を取り入れています。内部告発者を表彰するところまでいけばもっと改善すると思われますが・・・

 私は最終的には個人と組織の独立した関係性、「正義感」を助長する教育、「無誤謬性」の排除(間違いは必ず生じる、そのためには間違いを正す勇気と文化を助長する)が大切)なのではないかと考えます。子供たちや孫たちが少しでも住みよい社会を構築するのが私たちの責任です。「隠蔽」の二字が無くなる世の中になればと念じつつ、筆を納めます。

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