such is life

葉ざくらと不始末 

2018年04月09日 ナビトモブログ記事
テーマ:such is life

このところの役人の不始末をみていると、かつて読んだ歴史を思い起こす。

江戸期、幕府の最高機関である老中などの政治というのは、必ずしも正直ではなかったという。

彼ら幕府の要人に接した外国の代表たちは一様にそのことを感じ、日本人はずるいとさえ思ったという記録がある。

江戸期の教養は儒学だった。儒学は官吏のための学問で、治められる側の学問ではない。

正直という言葉は、小難しい儒教の徳目にはなかった。

かつての中国、朝鮮といった儒教国で、政治家や役人が国を治めるとき、必ずしも正直である必要がなかったという。

論語には「民は由(よ)らし(従う)むべし、知らしむべからず」とある。

為政者としては民に揉み手して正直のような「俗倫理」に従う必要はないというのである。

これは、全近代的なアジアの政治体質の話ではなく、いまの、つい先日の日本で起こっていることである。

戦後憲法は「個人」を創りだしてくれた。いまの憲法による日本国は、個々の自覚の総和の上に成り立っているにちがいない。個々が正直さを失えば、たちまちこの国は崩壊してしまう。

個人だけではない。それを代表する政治家や、国家機関の役人が不正直であれば、この国はガラス器具を落とすようにこわれるのである。

わき上がる新緑の葉ざくらを見ていると、役人になって花咲かせた人たちに、うつくしい葉をしげらせてほしいとおもった。


葉ざくらやイエローカード垂直に 風来



拍手する


コメントをするにはログインが必要です

真面目

suchさん

つちのえさん。儒教は治める側の学問でしたから、正直という徳目は必要なかったようですね。
おっしゃるように、日本人は真面目な民族ですから、役人の不始末をなかなか理解できないものと思われます。

2018/04/09 21:10:54

孔子

つちのえさん

浅薄な知識でごめんなさい。
儒教といえば孔子ですが
正直という徳がないとは驚きました。
正直は美徳として育った日本人。
正直であり続けるのも大変ですから
嘘も方便と逃げ道を作ってしまう日本人は
おもしろい民族ですね。

2018/04/09 20:40:29

PR







掲載されている画像

    もっと見る

上部へ