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敏洋’s 昭和の恋物語り

ごめんね…… (十三) 

2018年03月20日 外部ブログ記事
テーマ:テーマ無し



「そうなの? そうなんだ。
うまく逃げられると良いね。
じゃ僕らの役目は終わったんだ。
帰ろうか、家に。誰かに見つかると、
おおごとになっちゃうからさ」

「何言ってるんだ! 
見届けなくちゃ、だめだよ。
ほんとに逃げられたかどうかを。
もし万が一捕まったりでもしたら……」
「うん。捕まったりしたら…(助けるの?)」

 喉まで出かかった言葉を、唾と共に飲み込んだ。
「助けるんだ、助けるんだ、何としてでも助けるんだ」
恐ろしい言葉が、やはり友人の口から洩れた。
言って欲しくなかった言葉が、洩れた。

「そうだよね、助けなくちゃね」
私の口からも、信じられない言葉が出てしまった。
そして体がぶるぶると震えだした。
「なんだい、怖いのかい?」
「そういう君だって、震えてるんじゃないのかい」

「怖くて当たり前だと思うよ。
でもここで逃げちゃ駄目だ。
勇気だ、勇気がいるんだ」
 しっかりと握られた友人の拳が、その時ほど頼もしく思えたことはなかった。
固く握られた拳にそっと手を添えると「僕にもその勇気を分けてよ」と、力を込めた。

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