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パトラッシュが駆ける!
花の争い
2017年04月29日
テーマ:テーマ無し
私は、囲碁サロンを経営している。
と言えば、大層に聞こえよう。
実は、碁盤が、たった三面の、日本国中探しても、
これ以下はないであろう、小さな碁会所である。
初心者を相手に、囲碁を教えている。
規模の小さいことを、逆手に取り、個人教授を売りにしている。
実戦を一局打ってから、後講釈をやる。
ここはこう、あそこは、ああと、指摘をする。
すべてを終えるまで、一時間から、一時間半かかる。
丁寧にやると、二時間かかることもある。
その報酬が五百円。
ワンレッスンがワンコイン。
これを聞いた、皆さんがお笑いになる。
しかし、それでもいい。
今さら、金を稼ごうという気はない。
私の人生を、豊かにしてくれた、囲碁への、
ささやかな恩返しだと思っている。
女性の生徒さんが、何人か居る。
人生経験の、豊かな方ばかり。
これを、世上では、おばちゃんと称したりする。
但し、侮ってはいけない。
七十を過ぎても、化粧をし、瀟洒な衣装を纏い、
爪に鮮やかな紋様を、光らせていたりする。
女は、灰になっても女。
と言うではないか。
私は、その通りだと思っている。
* * *
「T子さんがね、来週からのレッスンを、火曜の午前に、
替えてくれと言うんですよ」
これをK枝さんに言った。
彼女は、その火曜に、来ることが多い。
つまり、二人が重複しそうだ。
そこに混乱が、生じないとも限らない。
「えー、そんなー」
K枝さんが、頭の天辺から、声を出した。
つまりは、不満の表明に他ならない。
「先生は、若い人の、肩ばかり、持つんだから、もう……」
「いや、そう言うわけではなくってね」
K枝さんは、地元民であり、徒歩五分で来られる。
T子さんは、電車を乗り継ぎ、四十分かけ、来ている。
私としては、遠来の生徒を、いたわってやりたい。
しかし、K枝さんは、別の捉え方をしている。
私が、T子さんを、依怙贔屓していると見ている。
そこに、嫉妬心が、あるかもしれない。
T子さんの方が、若い。
女盛りと言えなくもない。
そして、碁も強い。
一方で、自分の方が年長者だ。
さながら、電車の優先席のように、自分が先に座って、
当然とする意識もあろう。
「先生を責めは、しませんけどね……」
K枝さんが、渋々折れた。
つまり自分は、その日には、来ない。
他の日にする。
ということを、不本意ながら、了承してくれたようだ。
* * *
女性の扱いは、難しい。
私のような不器用者には、手に余るところがある。
いや、私と女性が、一対一で、向き合っている分には、何とかなる。
そこに、教える側の威光も、なくはない。
皆さんが、素直に私の言うことを、聞いて下さる。
問題は、一対二、あるいは三になった時だ。
その、二あるいは、三の側において、不協和音が生じる。
些細なそれが、あれよあれよという間に、確執となり、
さらには、軋轢へとエスカレートする。
そうなると、私はもう、それを収拾ことが出来ない。
K枝さんとT子さんの関係も、そんなことだ。
たまたま、ある囲碁会で、偶然に、出会ったらしい。
「あの人ったら、先生を独占しちゃってね、他の人に、
対局を譲らないのです」
K枝さん、T子さんの、その自己中心的なところを怒る。
一方で、T子さんも、負けていない。
「あの人ったら、わきから、口を出すんです。
人が考えている時に」
K枝さんのマナー違反を言い募る。
二人ともに、私には、良き生徒なのである。
その二人が、私の関与しないところで、出会い、
そして相互に、不信感を抱いてしまった。
そしてまた、私のサロンで、再会した。
運命のいたずらと言うよりない。
* * *
男は頭で考え、女は子宮で考えると言われる。
頭で考えたなら、それは、修正されることもある。
一方で、生理的にダメとなったら、もう仕舞いだ。
そこに、翻意の余地はない。
私の生徒は、女性の方が、多い。
その女性方の仲が、必ずしも、しっくり行かない。
これが残念だ。
彼女らも大人であって、表面上は、何ら問題がない。
会えば、にこやかに会釈をする。
しかし、和気藹々に、至ることはない。
互いの腹の中に、一物あるからだろう。
おそらくは、囲碁のせいだ。
対局には、勝敗がつきまとう。
と言うより、勝敗しかない。
勝った方はいい。
負けた方が、こたえる。
対局相手が、同性だから……ということも、あるかもしれない。
相手が男だったら、彼女らも、さほど、勝敗には、
こだわらないかもしれない。
女同士の激突。
ここに問題がある。
席主の手腕が、問われるところだが、この私がだらしない。
毅然と懐柔、そのどちらも、私のよくするところではない。
手を焼いている。
困ったことになっている。
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気楽にどうぞ
シシーマニアさん、
コメントなしで、一向に構いません。
拍手は「読みましたよ」という、シグナルのようなもの。
それで十分。
気の利いたコメントをと思うと、余計に書けなくなるものです。(私の場合)
彩さんは、才の人。
人と接する分野での、プロでもあり、当意即妙のコメントは、余人には、容易に真似のできないものがあります。
2017/05/01 05:48:06
土曜日は師匠の日
と勿論認識しているのに、「コメントなしで拍手だけは無いだろう」という自己規制で、結局今日になってしまいました。
つまり、コメントを書こうかなと思ったら、彩さんの余りにも愉快なコメントを読んで、何だかまず、「彩さんに拍手!」の気分になってしまいました。
2017/04/30 19:56:42
何をおっしゃる
Reiさん、
花でもなんでも、両手に抱えるのは、嬉しいものです。
しかし、それが暴れ出すと、私はもう、give upです。
これがほんとの「お手上げ」
静かな女性が好きです。
そうReiさんのような……
2017/04/29 18:15:48
両手に花
師匠
それを「両手に花」と言うのです。
または、嬉しい悲鳴…
いや、願ったり叶ったり…
…これ以上は、怒られそうなのでやめておきます(^_^;)
2017/04/29 16:17:15
酒の効果で
澪つくしさん、
女性の生徒さんは、そりゃ「花」ですから、
うれしくないことは、ありません。
しかし、内輪もめが起きるのは、困ったものです。
渦中の女性は、二人とも、酒が飲めない。
これが呑兵衛同士なら、手っ取り早いのですがね。
一杯やらせて、言い含める。
私にも、何とかなると思うのですが……
2017/04/29 13:11:09
そうです
彩々さん、
その通り「板挟み」です。
こちら立てれば、あちらが立たずです。
弱者には、強者に対する「ひがみ」もあるようです。
(悔しかったら、努力をすれば、いいのですがね)
「女は胸中で考え、男はそのイチモツのみで考えると言いたい」
なるほど、名言かもしれません。
どちらにも、センサーがあるのでしょう。
外に突き出ている関係で……
2017/04/29 13:02:05
クスクスッ!
パトさんの、少〜し嬉しそうな困り顔が
目に浮かぶようですワ(^^♪
女はそんな面倒な女ばかりじゃありませんヨ!
彩さん な〜るほど!
お見事なお言葉ですワ〜〜(⌒▽⌒)アハハ!
2017/04/29 10:53:13
姑と嫁
よく言われる「姑VS嫁」の
拭いけれない関係と同じような
ものかと読ませていただきました。
パト師匠は、間に挟まった、どちらの
肩も持たない男子の気持ちなので
しょうか?
囲碁も勝ち負けのある勝負事で
しょうから、「女の嫉妬心」という
のとはまた違う、生存本能がムクムクと
(競争心)起きるのでしょうか。
〜〜〜〜〜
>男は頭で考え、女は子宮で考えると言われる。
↑
異論あり!(笑)
「女は胸中で考え、男はそのイチモツのみで考えると言いたい」
失礼しました!
2017/04/29 09:53:05