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第102回 昭和38年初秋 生徒会会則変更
2016年11月04日
テーマ:テーマ無し
高校3年の2学期が始まり、私は、家庭科クラブの全国大会参加の報告をすることになる。
衣食住や、地域社会・高校生活の問題点を取り上げ、調査・研究・改善実施の発表があったことを、報告した。
その時、高校2年の冬の困った問題を、思い出した級友がいた。
古い木造校舎から、鉄筋の新校舎に移動した時のことで、教室の窓もドアも壁も何もかも新しく清潔なので、みんな喜ぶ。
ところが1ヶ月経った頃から、困ることが出てきたのだ。
寒くなり窓を閉めるのだが、密閉された感じで息苦しい。
時々早弁するクラスメイトがいるのだが、臭いが教室内こもり、教師にバレてしまう。
「後ろの人、ご飯粒が口の周り付いているぞ。」と、教師に注意される。
本当は、ご飯粒は付いていないのだが、早弁をしていた人は大慌てだ。
それよりも、もっと大きい問題がでたのだ。
木造の校舎よりも、鉄筋校舎の床からの冷えがひどく、椅子に座布団を敷いた上に、正座をして授業を受けねばならない。
また廊下を歩く時、木造より鉄筋の方が冷え冷えするので、分厚い靴下を履く人が増えた。
上靴をちゃんと履けず、つっかけるだけだ。
「分厚い靴下を履いて、上靴をつっかけている人がいるが、危険だから上靴をちゃんと履いて下さい。」
「生徒会会則を守って、上靴をちゃんと履ける厚さの靴下を履きなさい。」などと、スリッパを履いている教師に、注意された。
「生理中は特に冷えた感じで、生理痛が酷くなった。」と、言うクラスメイトが増えた。
「冬の冷える時は、分厚い靴下を履いてスリッパを履きたい。」という声がでていた。
冷え始めた秋になり、再び「スリッパを履いてもよいことにしてほしい。」という声があがる。
「寒くなる前に、スリッパを履いてもよいことに、生徒会会則を変えて欲しい。」という意見も多くなった。
生徒会会則は、全校生徒の3分2の議決で変更できると、会則に明記してあったのだ。
家庭科クラブの委員会で議題になり、女子クラスで話し合った結果、生徒会(男子クラス・男女クラス・女子クラスの全校生徒が含まれる)に規則変更を申しこむことにした。
男子クラスにも男女クラスにもスリッパを履きたい人がいて、とんとん拍子に進む。
生徒会総会が開かれ、寒くなる前に、スリッパを履いてもよいことに決めることが出来た。
自分たちの意見を出して、会則をより良く変更するために、考えたり話し合ったりすることは楽しい。
教科書を読んで理解する学習より、家庭クラブの研究や生徒会活動のほうが、よほど勉強になる気がした。
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