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吾喰楽家の食卓

第448回 花形演芸会 

2016年09月23日 ナビトモブログ記事
テーマ:古典芸能

昨日、国立演芸場で、花形演芸会を楽しんで来た。
今月になって、三回目の落語である。
今度の土曜日と日曜日も行くから、合わせると五回になる。
半年前から九州旅行が決まっていた。
幾ら貧乏旅行とはいえ、それなりの出費だから、他のお遊びはなるべく控えようと思っていた。
しかし、風流寄席は外せない。
国立演芸場は、上席こそ我慢したが、残りの公演を全て観ることになった。
それだけ、魅力的な出演者が揃ったということだ。
行けるときは行こう。
そのうち、行きたくても行けなくなる。

前座の柳家小かじは、三三(さんざ)師匠に入門して四年目であるが、結構、上手い。
それもそのはず、後で調べたら、法政大学の落研出身だった。

二ツ目は二人出演したが、何れも悪くない。
三遊亭好の助は、ナポレオンズのボナ植木(背が高いほう)の息子である。
江戸っ子の職人を遣らせたら、ピカイチだ。
古今亭志ん八は、独特の芸風を持っている。
金魚など魚の真似をするのだが、実にいい雰囲気を醸し出している。
来秋、真打ちに昇進する予定らしいが、納得できる。

中トリの蜃気楼龍玉は、この日のお目当ての一人である。
演題の『文違い』は、廓噺だ。
客と遊女の騙し合いの様を、渋い声で聴かせてくれた。
淀みない語り口は、上手と云われるベテラン勢にも引けを取らない。
しかし、淀みなさすぎて、聴いていて疲れる。
途中で、息をつく間を与えてほしい。

くいつきの金原亭馬治は、お馴染みの『片棒』を口演した。
昨年、真打昇進披露で観て以来、気になっている噺家だ。
聴く度に、上達しているのを感じている。
今回の噺において、語りの部分は悪くないが、鉦や太鼓の表現が今一だった。
もっとも、聴いたばかりの柳亭市馬(落語協会会長)と比べては、気の毒ではある。

トリの三遊亭萬橘は、初めて聴く噺家である。
「待ってました!」と、掛け声が掛った。
複数の熱狂的フアンが来ているようだ。
マクラから、盛り上がっている。
個人的な好みだが、もう少し落ち着いた雰囲気で始まるほうがいい。
ところが、噺に入ると、実にいい。
涙が出るほど、笑わせてくれた。
演題の『妾馬』(めかうま)は、屋敷奉公に出ている妹がお世継ぎを生み、兄が上屋敷に招かれる噺だ。
出された酒で酔った兄の、云いたい放題の様子を、萬橘は見事に演じていた。
観ていて、歌舞伎の『魚屋宗五郎』を思い出した。
喜劇と悲劇の差はあるが、兄が妹を思う気持は共通している。
職人八五郎(兄)、殿様、三太夫と、三人の演じ分けは悪くない。
しかし、全体的に八五郎色が強すぎる。
マクラや地の部分に、落ち着いた語り口があると、更に良くなると感じた。
とは云え、笑わせることに関しては、非凡な才能を持っている噺家である。

   *****

9月22日(木) 国立演芸場の玄関と演題



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沙希さんへ

吾喰楽さん

おはようございます。

>落語を知らない者には、何となくしか意味がわかりません。

落語を知らない方でも理解して頂けるよう、以前は余り書かなかった噺の筋を書くようにしています。
それでも、意味が通じにくいのは、書き方に問題があるのでしょう。

『妾馬』と『魚屋宗五郎』の類似については、双方を知らないと分かり難いと思います。

ホームページに興味はありますが・・・

2016/09/23 09:29:53

落語と蕎麦でホームページを

さん

おはようございます。

読んでいて、いつも思うのですが、落語を知らない者には、何となくしか意味がわかりません。
けれど、知っている方なら、ポンと膝を打つような感想なのでしょう。
勿体ないです。
落語愛好家の為のホームページを作っては如何ですか?
きっと、もっとずっと張り合いが出るはずです。
蕎麦も、お口直しの彩に添えて。

ところで、
>行けるときは行こう。
そのうち、行きたくても行けなくなる。

これは、最近私も思う様になりました。
以前は女性は90歳も当たり前の時代というので、ひたすら預金を減らさずと、守りに入りましたが、色々な病をえて、考えが替りました。
最終的には、家があるから、年金でつましく暮らせば何とかなるかと・・・

2016/09/23 09:03:10

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