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第95回(2) 昭和38年春 就職を考える
2016年04月03日
テーマ:テーマ無し
3年の新学期が始まりしばらくして、購買部員のひろさんが、「タイプを始めるんよ。一緒にしようやー。」と誘ってくれた。
就職の時、特技にタイプと書くと有利になるらしいが、私には難しいように思える。
よく聞くと、英文タイプもあることが分かり、24文字しかないから、私に出来るかもしれないと気がついた。
英語塾の先生に、「敏子君は易しい言葉で訳すのが良い。」と言われてから、英語を訳すのが好きになった。
教科書は難しくは無いからだが、辞書さえ引けば訳せるから、自信もついてきていた。
英文タイプなら出来るのではないかと、楽観的に考えて始めることにする。
タイプ教室にいくと、大きい和文タイプと小さめの英文タイプが数台づつ並んでおいてある。
AAAaaaBBBbbb・・・・・と決められた指で打っていく。
YYYyyyZZZzzzとどうにか決まった指で打てるようになると、「商業文を打ってみましょう。」と先生がテキストをくれる。
早速、初めてで分からず読めない単語(reshuffie)がでてきたので、辞書を引くことに。
人事異動の書類を作る練習のようだが、テキストの通りにタイプを打てばいいのだが、簡単ではない。
週2日通い、毎回1時間に1枚の書類を、どうにか作成出来る様になった。
「今日は、この後タイプを使う人がいないから、使ってもいいですよ。」と先生。
ひろさんが「ありがとうございます。」と、嬉しそうに和文のテキストを開いて、打ち始めた。
私も見習って打ち始めたが、集中出来ず間違ってばかりで、疲れた感じで仕上がらない。
ひろさんははかどるらしく、早い時間で1ページ仕上げ満足していている様子。
5月末に、ひろさんは就職試験のときの履歴書の特技欄に、「和文タイプ」と書くと話す。
私は特技ではないから、英文タイプ勉強中と書こう決める。
6月になると、大会社や役所や銀行などの就職試験の日時などの報告があった。
私は、知人が働いて、「受付案内係」を頼めそうな会社に、受験することにする。
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