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第90回 昭和37年晩秋 きつねの嫁入り 

2015年11月05日 外部ブログ記事
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秋も深まり、木の葉が色づく。
学校の授業や高校生会が終った時、時々番長と一緒になり、おしゃべりをしながら帰宅する。
間もなく、北の方の花岡で、「きつねの嫁入り」の行列が行われると聞いた。
「私、まだ一度も、『きつねの嫁入り』を見たことないんよ。」と言う。
「そうかー。じゃあ連れて行ってやるわー。」と、番長の返事。
当日、私が自転車で彼の家に誘いに行ってから、見物に行く約束をした。
11月の初めはさほど寒くなく、快い風を感じながら進み、自転車置き場に自転車を置いてから、花岡駅に向かう。
旧山陽道は、見物客でいっぱいだ。
番長は、友達に声を掛けられて、話をしながら進む。
その時、行列が来たらしいが、大勢の人で見えにくい。
白い顔のきつねのお面を被った花嫁と花婿のきつねの姿が目に入った。
きつねの花嫁と花婿は、乗り物に乗っているらしく、他の行列の人より高いので見えるのだ。
みんな行列に付いて行きながら、見物しているので、私も付いて行く。
しばらくして、番長とはぐれた事に気がついた。
前後左右をキョロキョロ見回しても、彼の姿を見つけることが出来ない。
まわりの流れについて行くと、花岡駅に着いた。
道路の端を通って、自転車置き場に帰ることにした。
彼の自転車はちゃんと自転車置き場にあり、30分位待っても、彼は現れない。
探しているに違いないと思ったが、じっとしていたからか寒くなってきたので、帰ることにした。
初めて、約束して出かけたのに、なんということだ!
しかたない。
「先に帰るわ。」とメモを残したかったが、用意していないので出来なかった。
次の日、学校の帰りに校門の辺りを、彼を待ちながらゆっくり歩いていると、彼が大股でやって来た。
「昨日は、先に帰ってごめんね!」と言うと、「俺も友達と話しちょって悪かったのー。」と。
「初めて、きつねの花嫁と花婿を見られてえかったよー。」などと話しながら、ぺタルをこいで帰宅した。
少し残念だった思い出だ。

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