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「お前、ぼーっとしてるなあ・・」 

2015年07月31日 ナビトモブログ記事
テーマ:シニアライフ

娘は、好奇心の強い子供だった。

一歳半でアメリカへ転居して、何が何だかわからないまま英語圏に放り込まれ、三歳半で日本に戻った時に母国語の中に放り込まれて、幼い日々は波乱に富んでいたと言える。

アメリカでは、アルファベットを覚えるのが面白かったらしく、看板を見たり、私達の着ているTシャツのロゴをみては、「それ、なんていう字?」と訊きながら覚えていった。

処が、日本に戻ると周りの文字が全く違っていて、どうやら三歳児ながら好奇心で一杯になったらしい。

何処かで貰った下敷きの裏に、50音が書いてあったのをいつも眺めて、今度はひらがなを覚えることに夢中になった。


その頃住んでいた団地の中には、住人のママたちが運営する子供文庫があった。

週に二回、二時間だけオープンするという内輪の文庫だったけど、娘はそこから好きな絵本を借りてきて「「ママ、読んで!」と言って、熱心に耳を傾けていた。

私も新しい生活の中であたふたしていた頃で、「字を覚えたら、ママの忙しい時でも自分で読めるよ」と言うと、目からうろこ、という風で、それから絵本を見ながら「これ、なんていう字?」が始まった。

好きな時に、本が読める、というのは大発見だったらしい。


文庫の運営のママたちの中で、そのうち娘は有名になっていった様だった。

まず、貸出制限である五冊だったかの絵本を選び出して、借りた本をその場で読み始めるそうだ。

そして、読み終わるとカウンターに行って返却し、又別途五冊の絵本を借り出すのだという。


子供にとっては殆ど無限に近い数の本に囲まれたのは、我が家の幸運だったろう。

私は、本は好きだがあまり絵本に関心がなかったので、自分の読みたい本を探せる環境は、本好きの子供にとって最高であった。

娘のお蔭で、私も「バーバパパ」の世界を知った。


小学生になっても、娘にとっての教科書は、好きな本を読むという感覚だったらしい。

新学期が始まって、新しい教科書を貰ってくると、夢中になってあっという間に読み終えていた。

お蔭で学校での成績もよく、長子だったこともあり、親の私は娘を、しっかりした子供だと、見ていたのだった。


だから、中学三年の時の担任の先生が、「お前は、ぼーっとしてるなあ」と娘の本質を指摘してくれたのは、娘と私にとって青天の霹靂であった。


思い出せば、娘は周りに影響されないタイプであった。

自分の世界で遊んでいた、とも言えるかもしれない。

勉強好きであったけれど、良い成績をとりたいという訳でもなく、好奇心が強かっただけの様であった。

私たち親は、自分たちが中学受験をして、その学校生活が楽しかった思い出があるので、娘にも受験させてみようかと考えたりもした。

でも、娘にあっさりと断られてしまった。

一人で、そっとして貰い、自分のペースで進めていくのが性に合っていた様である。


身近にいる家族から見ると、大人しそうな様子からは窺い知れない、子供なりの創造力などに驚かされていたのだが。

当時はクラスで秀才と評価されていた娘を「ぼーっとした」と描写されたのは、目からうろこであった。

沢山の子供たちを見ていらっしゃる先生は、さすがに慧眼だなあと、娘と私は本質を見抜いてくださった事が嬉しくて、未だによく思い出す。


そして先日、娘の話によると。

結婚式に際して、事前にお互いのイメージを聞かれたときに、旦那様が娘の事を「ゆるきゃら」と言ったそうだ。

さすが、娘の本質を見抜いてくれてるらしい。

娘も嬉しそうであった。



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いよいよ、です。

シシーマニアさん

彩々さん、おはようございます。

コメントありがとうございます。
そうなんです。安心して送り出せる気がしています。まあ、三か月前に入籍も済ませて、新生活も始めているので、不安は少ないのですけれど、でも親としては色々老婆心で考えたりしますので・・。

明日の挙式に向けて、これから上京します。

2015/08/01 10:44:30

素晴らしいお話し。

彩々さん

結婚式前になると、親離れしていく
娘を愛おしくなるのか、私も
娘との時間を振り返る事が多かった気がします。

我が子の「芯」のところを掴んでくれる人は人生において、そうそう無いと
思います。
それがこれから人生を共にする
ダンナ様という事は、心強いし
安心して送り出すことが出来ますね!。
シシーさんご夫婦のお姫様が
もうすぐ嫁がれるのですね。。。

長い間、立派に育てられ、ご苦労様
でした。
そして、おめでとうございます!

2015/08/01 08:44:11

どんな感じがするのでしょう・・。

シシーマニアさん

Reiさん、こんばんは。

コメントありがとうございます。

>嬉しくて、ちょっと寂しくて…待ち遠しい晴れの日ですね。

おっしゃる通りですね。
いよいよ迫ってきました。

2015/07/31 23:36:05

もうすぐですね

Reiさん

娘さんの結婚式、もうすぐですね。
私も娘の結婚式の前には、懐かしい写真などを見て、あれこれ思い出したりしていました。

嬉しくて、ちょっと寂しくて…待ち遠しい晴れの日ですね。

2015/07/31 09:10:02

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