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鳥の巣　

2015年05月08日
テーマ：思い出すままに

私はここ数十年来、ヘアースタイルはアフロである。

理由は色々あるけれど、とにかく毎朝の手入れが簡単なのだ。

毎朝の、手軽さ加減を考えれば、美容院に通う頻度が高いことも我慢できる。


そして更に、ジーンズであろうが、パーティであろうが、コンサートの本番であろうが、それなりに何とか恰好がついてしまう便利さがある。


私が頼んでいた美容師さんは、仕事の早い事にプライドを持っている様な人だったので、当時忙しかった私には、大変好都合であった。


東京で私が住んでいたのは、都心ながら近くに大きな公園があった。


数々のコンサートホールも、歌舞伎座も、子供たちの高校も、殆ど30分以内で行ける様な場所にも係わらず、小鳥達の鳴き声も聞こえてきた。


そして、カラス君たちの声も・・。


カラスは、非常に賢くて人間の顔も覚えたりするらしい。

息子の中学校の先生が、一度カラスを脅したところ、それ以降、根に持ったカラスに追い回されて、広いグランドでは単独行動ができずに生徒たちをいつも引き連れていた、という笑い話があったくらいである。


しかも、都心のカラスは栄養が行き届いて、体が大きい。

私などは、一人で歩いていて、低い枝に止まっているカラスに出会うと、勝負はおのずから付いてしまう。

つまり私の方が、引きかえすか、横道にそれるのだ。

私も「あいつは気にすることは無い」とランクづけされて、顔を覚えられていたのかもしれない。


ある時、信号待ちでぼんやり立っていると、突然何かが覆いかぶさってきたことがあった。

訳がわからずに、思わず手で払いのけると、「カーァ」という声と共に、大きなカラスが私の上を飛び去って行ったのだ。

又、バカにされてしまったのか・・。


帰宅して家族に怖かった話をすると、しげしげと私を眺めた主人が、言った。


「きっと、カラスは巣だと思って止まったんだろうなあ。急に払いのけられて、カラスこそ怖かっただろう・・」



今朝、Mさんのブログを読んで思い出した、間抜けなエピソードである。

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