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独りディナー
ジャズクラブのワインは妖しい味がする
2014年12月14日
テーマ:シニアライフ
私が最初に行ったジャズクラブは、六本木にあった「ミスティ」。40年位前の話である。
当時の遊び仲間だった作曲家が、4,5人を引き連れて案内してくれたのだ。
其処では、ピアニストの山本剛を中心としたトリオが、毎晩生演奏を聴かせてくれて、閉店前のフィナーレには、スタンダードナンバーの「ミスティ」を弾くというのが、お決まりのコースだった。我が家から近かった訳ではないけれど、それからも何度か通った。
彼らが演奏した、「ミスティ」というレコードが、その当時スリー・ブラインド・マイスというレーベルから発売されていた。
アガサ・クリスティ好きの私は、短編小説のタイトルを思い起して、その奇妙な響きの奥に謎めいた魅力を感じたものだった。
でもスタジオ録音の演奏は完成度が高かったけれど、クラブでの山本剛のアドリブに、若かった私は魅惑された。
10年程前、当地に転居してきた頃は、目新しさも手伝って主人と二人でよく飲みに行った。
或るとき、繁華街のビルの屋上に観覧車が見えたので、酔った勢いで乗ってみようかと思いたったのだが、でもそれは出来上がったばかりでまだ運営はしていないと言われ、其のまま近くにあった「ブルー・ノート」に流れて行った。
その日は、渡辺貞夫の出演日で、とっくに完売していたらしいのだが、既にチケットを持って入場を待っていた列の後ろに、様子もわからず当然の様に並んだ私達の為に、会場のスタッフは何故か急遽二席用意してくれたのだった。
ステージのすぐ横で「世界のナベサダ」を堪能することができた、それが「ブルー・ノート」初体験。
その時も勿論、とても楽しかったけれど、それから暫くして、主人の好きな「マンハッタン・トランスファー」が来るのを耳にして、あらかじめ予約して出かけた時の方が、事前の期待感も加わって、強く印象に残っている。
彼らのMCも、簡単な英語で言ってくれて一緒に笑えたし、気負いのない空気感が本場らしい雰囲気を盛り上げていた。
そして、赤ワインのグラスを片手に、聴きなれた曲に耳を傾けるのは、これぞジャズクラブの醍醐味といった味わいがあった。何処か、自分をアメリカ映画の登場人物に置き換えて、美しいヒロインにでもなった気分だったのだろう。
ジャズクラブでのワインには、そういった夢物語へと誘う妖しい魅力がある。
これはちょっと、クラシックのコンサートでは味わえない感覚である。まあ、単に手にしたワイングラスのなせる技かも知れないのだけれど。
タモリによれば、「ジャズ」というジャンルは無いらしい。「ジャズな人」が演奏しているのを、ジャズというのだそうだ。
ジャズな人とは、スウィングする人、という説明であった。更に、「ジャズじゃない人」の例としては、「音楽大学のピアノ科を出て、技術はあるんだけど、只ジャズが好きだからと言って弾いている様な人」
「ジャズな人」が演奏しているのがジャズ、という発想は素晴らしいと思うし、音大ピアノ科出身も遠い過去となったシニアは今度、クラシックとジャズとの橋渡し的な、ガーシュインの「ラプソディー・イン・ブルー」ピアノソロ・バージョンに挑戦してみることにした。
ユーチューブを検索していたら、まさかのガーシュイン自身の演奏した、ソロピアノバージョンの録音が出てきた。
凄い、テンポである。でも、「ジャズな人」という括りで言えば、かなりクラシック寄りの演奏だったのには、ちょっと勇気づけられた。
今は、来週の本番に向けて、猛練習中である・・。
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ナイスです^^
私の十代当時は深夜ラジオの全盛時代で、TBSの公開録音
番組で凱旋帰国したという貞夫さんのコンサートが大阪であり
ました。デビューしたばかりの戸谷重子、マーサ三宅、皆さん
当然に若い。ギターの増尾なんてアイドルのようでした。
山本剛のミスティは日本の誇りでもある名演ですね。
村上龍のRyu's BarなるTV番組で、バド・パウエルのクレオパト
ラの夢を山本のプレーで、テーマとして使われていましたっけ。
始まったTVのワイドショーなどでは決まったように、一曲くらい
ジャズプレーを聴かせたものですが、今ではそんな洒落た企画も
皆無な時代です、遊び心なんてカッコつけていると正社員には
なれない時代だからでしょうか・・・。
2014/12/14 12:45:24