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第59回 昭和34年秋 クラブ活動の応援(2)
2014年05月16日
テーマ:テーマ無し
2学期が始まり、レフトさんのことを、友達のひろこちゃんに話さなくっちゃと思った。
さっそく「レフトさんはレシーブやアタックの時、かっこいいのよ。目があった時ドキドキしたのよ。」と伝える。
ひろこちゃんは、彼の名前だけでなく、家族構成も知っていた。
「お兄さんは、山の高校に行っているのよ。」など話し、住所も教えてくれた。
彼のことを話したり聞いていると、気持ちが落ち着いてきた。
「私は、応援したいだけよ。付き合いたい訳ではないから、このことは誰にも言わないでね。」と念を押した。
紅葉が始まった10月、県の大会にも補欠で行く事になり、万一の出場に備え、私はサーブとレシーブの練習でとても忙しくなった。
1学期の体重より2キロも減ってしまい、体が動きやすくなったが、スタミナが減ったように感じる。
県大会では、試合会場が男女別々で、レフトさん達の応援ができず残念。
女子の試合が始まリ、準々決勝まで勝ち進んだ。
その試合の終り頃、後衛のライトの選手が突き指をしてしまったので、途中退場した。
私が交代する事になり、ドキドキしながら、コートに入って腰を落し両手を構えた。
レフトさんのように、私のところに来たボールは必ず取る意気込みでいた。
ついに、私の2・3歩前に強いサーブが来た。
手から飛び込んで、ボールを受けかろうじて上げる。
センターのキャプテンがトスを上げ、攻撃につながった。
間もなく試合は終了し、次には勝ち進めなかった。
残念と下を向くと、膝を擦りむいて血が出ている。
滑り込んだ時は痛くなかったので、気が付かなかったのだ。
先輩が「よく受けたぞ。」と誉めてくれたので、照れてしまった。
県大会が終ると3年生は高校入試や就職準備で、部活動にほとんど来ないので、レフトさんには会わなくなった。
運動部選手のフアンになって応援する楽しみを、レフトさんに教えて貰った気がしていた。
しばらくして、「今度の土曜、学校のグランドで2年生の選手が、隣の中学の野球部と練習試合をするから応援に来てくれ。」と野球部顧問の担任の馨先生から誘いがあった。
ひろこちゃんやしずちゃんや瞳ちゃん達と、グラウンドに駆け付けた。
小学6年の時同じ組だったかず君や賢ちゃんが出場していて、懐かしく感じる。
しかし、隣の小学からの選手が多く名前も分からない。
ひろこちゃんが、「あの人は修ヤン、あちらは重さんよ。良男くんもいるわ」と教えてくれる。
名前が分かると親しみが湧き楽しく応援できたし、我校の野球部が勝ったので大喜びした。
先生も嬉しそうだったので、勝手に私設応援団のつもりになり、次の対校試合も応援に行こうと決めた。
しばらくして、「次の日曜日、市内の西グランドで対校試合をするから、応援に来てくれ。」と馨先生。
数人の勝手私設応援団はもちろん出かけ、西グランドの3塁ベース近くの柵の外から応援を始めた。
グランドが広すぎて、選手の表情はよく分からないが、顔と名前は分かった。
「フレーフレー、かずくーん。」「いいぞ・いいぞ!しゅうやーん!」「賢ちゃん、ナイス盗塁!」「かっ飛ばせ!重さん。」「良男くーん、かんばれー。」と大声を出した。
選手には遠く離れすぎて届いていないようだ。
賢ちゃんの「イケー・イケー。」と盗塁を促す声が、かすかに聞こえて来る。
この日の試合も勝ったようだった。
選手と直接話したい気持ちは無かったし、選手も私達に声を掛けなかった。
「みんな頑張っていたね。」などとにぎやかにおしゃべりしながら、家に帰った。
応援は大声を出すからか、気分も晴れる気がする。
私はバレーボールの練習をしてもあまり上手にならないし、準備体操のうさぎ跳びも嫌いだ。
3年になって練習量が増えたら、続けられるか心配だ。。
一方、真剣にクラブ活動をしている選手を格好いいと思う。
私は応援する方が好きだと感じ、勝手私設応援団を続けようと思った。
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