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第47回 昭和32年晩秋 劇は楽しい 

2014年04月08日 外部ブログ記事
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6年生の11月下旬、「日曜学校のクリスマス会で劇をすることになったんよ。一緒にしよう。」と真知子ちゃんが誘ってくれました。
日曜日の午後、クリスチャンホームの嬉子ちゃんと礼子ちゃん、それに私も加わって4人が集まリました。
「この中に劇の台本が載っているから選んでね。」と日曜学校の先生が、教師の友という雑誌数冊を私達の前におきます。
「キリストの生誕劇」や「金持ちのザアカイの話」などありましたが、私達は若い女性のでる「カナの婚礼」の劇を選びました。
先生は、役を決めるのも衣装をどうするかも、全部私達に任せてくれたのです。
みんながそれぞれ読んでみて、役を決めました。
衣装は相談の結果、日曜学校の部屋の白いカーテンを借りて、全く切らずにドレス風に大きい目で縫い、首のところにゴムを入れることにしました。
色のついた紐で、腰を結びます。
次の日曜日に衣装作りの後、台詞の読み合わを始めました。
さあ、今度は動作を付けて劇の稽古です。
「ここはもっとゆっくり言った方がええよ。」
「客席の方を見て言おうよ。」
「笑顔の方にがええわ。」
など4人で相談し合って、稽古を続けました。
とても楽しくて、クリスマスの日が楽しみです。
クリスマスの前の日曜日、礼拝堂のアドベント・クランツ(待降節にろうそくを立てる、緑の小枝で作った輪の台)の4本のろうそくのうち、3本に火がつきました。
午後、先生達に、私達の劇をみて貰いました。
「素晴らしいわ。」と大きな拍手です。
クリスマス当日、アドベント・クランツに4本のろうそくの火が輝いています。
日曜学校のクリスマス会に子どもも大人も、大勢集まりました。
稽古の時以上に、私達は気持ちを込めて劇をしました。
みんなから拍手喝采を受けて、私達4人は「ヤッター。」と感激しました。
劇はうまく出来たし、皆で協力して劇を作り上げる楽しみを味わって大満足です。
その上、4人が大の仲良しになれたことも、とても嬉しいことで、これは神様からのクリスマスプレゼントのように感じました。
今までは、劇にでて母に誉められることが夢でしたが、4人で楽しかったので、母に見に来てもらうのをすっかり忘れていました。
とても残念ですが、仕方ありません。
クリスマスが終ると年末です。
町内で最近テェーンストアーのお店を始めたおばさんが、「としちゃん。年末忙しいので手伝いに来てね。」と頼みました。
この前、町内会の集まりがあって、おばさんが出席した時、私が留守番代わりにお店に行って手伝ったので慣れています。
私は頼りにされ嬉しくなり、すぐに「ハイ、喜んで手伝います。」と返事しました。
年末の3日間、お店のお手伝いのお姉さん役を引き受ける気分です。
お店に行ってみると、お正月用のしめ縄や松飾が届いていたので、店先に並べました。
お客さんが来て、「若い愛嬌のあるお姉さんがいるのはいいね!」とおだてます。
私もおだてに乗って、もっとにこやかな良い声で、「いらっしゃい。ありがとうございます。」と挨拶をしました。
お店のおばさんも、手伝うことを喜んでくれています。
「愛想いいお姉さんがいるから、また買物に来たぞ!」と近所のおじさんやお兄さんのお客さんが、冗談を言います。
私は年末のお店で、手伝いの女の子役の劇をしている気分です。
3日間のとても楽しい劇が終りました。
大晦日に、おばさんが「これは少ないけどお礼よ」と言って、お金を入れた封筒を手渡してくれました。
家に帰って中を見ると600円も入っていました。
年末のお店の劇を楽しんで、お金を貰って私は嬉しくてたまりません。
「愛想よく手伝ったから、お兄さんやおじさんのお客さんが喜んでいたよ。」と父に話しました。
すると、父は不機嫌な顔をして「愛想がいいのはいいけど、媚びを売るのは嫌いだ。」と言いました。
私はその意味が分からず、台所でおせち料理を作っている母に、聞きました。
「必要以上に愛想笑いを振りまいて、余分なお酒や物を売りつけることよ。」と母。
「私は押し売りはしていませんよ。お父ちゃんは、私がおじさんやお兄さん達と親しくなるのが嫌なんだ。」と独り言を言いました。
家族みんなで年越しそばを食べた後、私は「百人一首」を思い出しながら詠んで、お正月の子どもかるた会に備えることにしました。
姉はおせち料理の手伝いをしますが、私はあまりしません。
私が料理を手伝うと、食材を落としたり調味料を間違えたりするので、母が落ち着いて料理ができないらしいのです。
エビの頭取りや、豆をさやから取り出すことは手伝っていました。
だから、私はお店の手伝いに行く方がいいと思います。
ラジオから、「NHK紅白歌合戦」が始まって、「お笑い三人組」という番組に出る、楠木敏江と言う人の歌が聞こえてきました。
母は早くおせち料理を作り終えて、大好きな美空ひばりの歌をゆっくり聞きたいようです。
私は眠くなったので床に入り、ラジオから流れる歌を聴いていましたが、そのうち眠ってしまいました。
さて、お正月です。
毎年来ていた山口市に引っ越した従兄は、高校生になり勉強が忙しいらしく、来ませんでした。
散髪屋さんがテレビを買ったので、「テレビをみにおいで。」と、弟は誘われたからと、大喜びで観に行きました。
恒例の子どもかるた会は、参加者がいないので出来ません。
私は、田舎のいとこの俊枝ちゃんの家に行くことしました。
俊枝ちゃんの家の中では福笑いや花札、外では竹馬や凧揚げに夢中になり楽しく過ごしました。

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