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昭和2年生まれの航海日誌

あの男どうしているだろう 

2013年04月01日 外部ブログ記事
テーマ:テーマ無し


「あれは何ですの」
「ウミマツ」
 碁敵が欅火鉢の上に置いたものを指して尋ねたので、そう答え
た。
 

 それから、少しばかり私の長い話を続けた。
 40歳前、まだ元気な頃、寒い夜でした。当直をしていると、
 通信士が
ドアを開けるなり、
「海に人が落ちているようだ!」と叫ぶ。

 急いで、岸壁に飛び出ると、ウォー ウォーと、大声が耳を貫いた。
 岸壁と船尾の間に落ちて突起物に捕まっているのだが、這い
上がることができないのである。

 寒いから、早く揚収しなければ、命に関わる。協力者は付近には
いなかった。協力者を求めている間がない。

 ロープを真ん中で曲げ、手元をハンドレールに巻き付け両端を下
ろした。

 「捕まれ!」
 「よし、こちらで体を結びつけよ」
 体力が残っていたので、言う通りのことができた。

 「俺が引き上げるから、そっちも登ってこい!」
 防寒着に海水が吸い込まれていたので、なんとも重かった。

 やっと、引き上げた。
 3メートルの高さが、30メートルの絶壁のようだった。

 助けたぞ、
 背中を押すようにしながら、ストーブの部屋に向かった。

 東北弁だった。気仙沼あたり基地とする底引き船の乗組員だ、
と思った。

 な〜がい旅路の航海終えて、
の一杯だったのだなあ、俺もわかるさ。でも、命は一つだよ。

 体は冷え切っている。油断はできない。
 とにかくストーブをつけよう。
 今日のよに、スイッチ一つでシャワーが出る時代ではなかった。

 ボソボソ、燃え始めたが、広い部屋が急に温まるわけがない。
 何より困ったのが、濡れた衣服を脱がせた後の着替えがない。
                       「 続く 」



 

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